それは
寒い冬の昼すぎの出来事だった。
いつもいくスーパーの奥に
最近できたキムチ屋さん。
実はちょっと
気になっていたそのお店。
タイミング合えば一度、入ってみたいな〜と。
と思ってた矢先、
先日、
車を運転しながらスーパーに向かい、
到着しようとしてた時でした。
後部座席に座ってる妻が
僕に、ポツリと言ってきました。
「そろそろキムチなくなるな。」
「あ?そうなん?
んじゃ、いつもいく鶴橋のキムチ買いにいく?」
妻がいつも食べてる
鶴橋市場で買ってるキムチがなくなると
言ってきた。
あ。
思い出した。
スーパーの奥のキムチ屋さん。。。。
「なーなー、最近できた
キムチ屋さんで買わへん?」
ってきいたら、
後部座席から
何かボソボソって聞こえました。
「・・・・・・・・」
え?なんて??
聞き取れなかったので、
もう一度聞いた、
その瞬間でした。
「・・・・・・・・」
え?
なに??
バックミラーで
妻をみようと思ったら、
バックミラーが下を向いてて
妻の顔がみえなかったので
後部座席に
振り向いたその瞬間でした。
後部座席にもたれていた
妻が前のめりに
顔面を僕の目の前に迫らせ
「超えられへんで」
え・・・・?
「みてみぃあの店」
え?なに??
「店構えでわかるわ」
え?
「超えられへんで。あの店。
私が食べてるいつものキムチを」
断言してきました。
車内の空気感は
あたたかい日常のムードから
一変し
突然
極寒の極地に。
僕には「なぜか」は、
理解できなかったのですが、
まぁ、一回だけ買ってみようか。
と言って、
妻は
麻薬捜査官のような
異様なオーラを放ち
無言でついてきました。
店に入ったら、
女性と奥に男性スタッフ、
奥の男性スタッフが
まな板で野菜を切ってました。
トントンって。
なぜか四人無言スタート。
あ?あれ?
「・・・・・・・・・」
僕は沈黙に我慢できず、
少し明るめに
「あの〜こちらって
やっぱり韓国キムチって書いてるから
韓国の方が作ってたりするんですか〜!?」
って聞いて見ました。
そしたら、少し間があいて、
女性スタッフが
「そうなんです〜!
こちらがオーナーなんです〜!」
へぇ〜!
そんなんですね〜!
って男性をみた瞬間でした。
とんとんって下を向いて切ってた男性が
顔の向きが変わらず、
下を向いたまま、
目の玉だけが
こっちを向きました。
ギロ。
「こわ。」
「・・・・・・・・・」
なぜか、
店内全員沈黙。
極寒の極地
アゲイン。
そのまま、大根キムチを買って出ました。
そして夜、
食卓に、買ったきたキムチがでてきました。
僕がたべた瞬間でした。
妻がひとこといいました。
「な」
「愛想のない店は
愛想のない味してるわ。」
僕はキムチをもう一つ食べてみました。
そしたら妻はさらに僕に言いました。
「キムチにも味で、でるんや」
「大事な大根も、水分ですぎや」
「男でも女でも、
愛想きらしたら愛のない料理になる」
「ぜんぶ、店構えにでるんや」
「お、お、お、おぅ。」
「あんたも、ちゃんとしぃや。」
絶句の食卓。
いつもながら
息止まるような晩御飯でした。
そんな妻に日々
感謝。